星の見えない空

横浜のネオンさえまだ観たことのない庶民

オレンジ色の街頭にただ1人
行き場がなくて雨が降る

前のテールランプに照らされたまなざし
サイドミラー越しにまだ照りつける

湿った空気に夏の青臭さ漂う
鈴虫の音が髪を纏いなびいた

何百回、何千回、通り過ぎた道なのに
何度も覚えられずデタラメを並べている

歩き出した赤ん坊なんかじゃない
両親の愛を精一杯受けたこの身体

ただ目の前にあるこの日この時間を
ただ必死に踏みしめていたくて

今ある景色、音、香り
記憶がどんなだったかを頭の片隅に

空は星が見えない
何処かで輝くまだ見えない私みたいに

作:ありぃ
画像:pixabay

吟優銘花=ginyumeika=

つれづれと詩や小説、写真を載せております。 詩に馴染みがなくても、手紙だと思って噛み締めて受け止めていただけたら幸いです。

0コメント

  • 1000 / 1000